戸籍を集めて家系図を作る。広域交付制度のやさしい使い方
1広域交付制度とは(令和6年3月開始)
これまで戸籍謄本は「本籍地の市区町村」でしか取れませんでした。広域交付制度により、本籍地以外の市区町村の窓口でも、自分や直系の親族の戸籍をまとめて請求できるようになりました。たとえば東京に住みながら、鹿児島や北海道に本籍のある祖父母の戸籍を、近所の役所で請求できます。
広域交付で取れるのは、次の3つです。
- 戸籍謄本(戸籍全部事項証明書):手数料450円
- 除籍謄本:全員が抜けた戸籍。手数料750円
- 改製原戸籍謄本:法改正で作り替えられる前の古い戸籍。手数料750円
一方、戸籍抄本(個人だけの写し)や附票(住所の履歴)、コンピュータ化されていない古い戸籍は広域交付では取れません。これらは従来どおり本籍地へ請求します(郵送可)。
2請求できる人・できない人
ここが最重要ポイントです。広域交付で請求できるのは、次の直系の方だけです。
- ✅ 本人
- ✅ 配偶者(夫・妻)
- ✅ 直系尊属(父母・祖父母・曽祖父母…)
- ✅ 直系卑属(子・孫・ひ孫…)
❌ 代理人による請求は不可(委任状があってもダメ)
❌ 郵送・オンラインでの請求も不可
つまり「請求できる本人が、窓口に直接出向く」ことが絶対条件です。
窓口では、顔写真付きの本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証・パスポートなど)が必須です。健康保険証など顔写真のないものは使えません。
3知らないとつまずく落とし穴
- 即日交付とは限らない:他の自治体のシステムから取り寄せるため、後日受け取りになることがあります。大量に請求するなら、事前に窓口へ電話で相談を
- 1回に請求できる通数に制限がある場合も:自治体で運用が違います。何代分もまとめて取りたいときは、必ず事前確認を
- 紙のままの古い戸籍は対象外:明治・大正期の戸籍には電子化されていないものがあり、その分は本籍地へ直接(郵送可)請求します
- 受付は平日日中のみが大半です
4家系図づくりは「出生から死亡まで連続」で
家系図づくり(および相続人の確定)では、1人につき「出生から死亡(または現在)まで連続した戸籍」を集めるのが基本です。結婚・法改正・転籍のたびに戸籍は作り替えられているため、1人でも複数通になります。
- まず自分の現在の戸籍謄本を取る(ここが出発点)
- 戸籍の「従前戸籍」欄を手がかりに、父母 → 祖父母へと一つずつ遡る
- 全員が抜けた戸籍は除籍謄本、法改正前のものは改製原戸籍として請求する
- 広域交付を使えば、直系分は最寄りの窓口で一度にまとめて請求できる可能性が高い
- 手書きの旧字体が読みにくいときは、窓口で尋ねるか、司法書士・行政書士に相談を
5戸籍でどこまで遡れる?
現在請求できる最も古い戸籍は、実務上明治19年式戸籍までです。除籍謄本の保存期間は150年のため、それより前のものは廃棄されている場合があります。順調に集まれば、江戸時代末期生まれのご先祖(おおむね4〜6代前)まで判明することが多いです。
その先をたどりたい場合は、菩提寺の過去帳、旧土地台帳(法務局)、墓石、郷土史などが手がかりになります。戸籍で行き止まっても、家系のたどり方はまだ残されているのです。