遺留分侵害額請求とは。もらいすぎた相続への対処と1年の期限
1遺留分侵害額請求とは
遺留分侵害額請求とは、遺言や生前贈与によって特定の相続人や第三者に財産が偏り、自分の「最低限の取り分(遺留分)」が侵害された場合に、侵害している相手に対してその不足分を金銭で請求できる権利です。かつては「遺留分減殺請求」と呼ばれていましたが、2019年の民法改正により、現物ではなく金銭で解決する現在の制度に変わりました。
2法定相続分との違い
「法定相続分」は遺産分割の目安となる割合そのものを指すのに対し、「遺留分」は遺言によっても奪うことのできない、法律で保障された最低限の取り分です。一般的に、遺留分は法定相続分の2分の1(直系尊属のみが相続人の場合は3分の1)とされています。遺言で「全財産を長男に相続させる」と書かれていても、他の相続人は遺留分に相当する金額を請求できる、というのがこの制度の意味です。
3請求できる人と時効
遺留分侵害額請求ができるのは、配偶者・子(またはその代襲相続人)・直系尊属(父母など)に限られます。兄弟姉妹には遺留分がありません。
| 期間制限 | 内容 |
|---|---|
| 時効(消滅時効) | 相続の開始と、遺留分を侵害する遺贈・贈与があったことを知った時から1年 |
| 除斥期間 | 相続開始の時から10年(知らなかった場合でも消滅) |
1年という時効は他の相続手続きに比べても非常に短いため、「侵害されているかもしれない」と感じたら早めに動くことが重要です。
4請求の流れ
- ①財産の全体像と遺留分の金額を確認する:相続財産の総額、法定相続分、遺留分の割合から金額を試算する
- ②相手に請求の意思を伝える:口頭でも時効は止まりますが、証拠を残すために内容証明郵便で送るのが一般的
- ③話し合いで解決しない場合は調停・訴訟へ:家庭裁判所での調停、それでもまとまらなければ訴訟に進む
5よくある質問
Q. 兄弟姉妹は遺留分侵害額請求ができますか?
A. できません。遺留分が認められるのは配偶者・子(代襲相続人を含む)・直系尊属のみで、兄弟姉妹には遺留分自体がありません。
Q. 生前贈与も請求の対象になりますか?
A. 一定期間内の生前贈与は遺留分の計算に含まれる場合があります。具体的な対象範囲は個別の事情によるため、弁護士にご相談ください。
Q. 家族関係の確認はどう進めればいいですか?
A. 相続人を正確に確定するには、戸籍を集めて家族関係を整理する必要があります。相続人の範囲や割合の基本は法定相続分の考え方と合わせて確認しておくとスムーズです。